僕は肉が好きだ。
この肉が好きというのは人肉が好きだというカニバリズム的発想でも、肉を切り刻んだり凌辱したりするのが好きというバイオレンス的発想でもなく純粋に牛、豚、鶏の肉を食べるのが好きだという意味である。
ちなみに僕は値段が手頃だからという理由で鶏肉を食べることが多い。
なので今日も夕方にスーパーで鶏胸肉を買おうかと思っていた。
しかし、僕の目に飛び込んできたの鶏胸肉の薄いピンク色ではなく赤い牛肉だった。
この牛肉がとても美味しそうでしかたがなかった。
軽く炒めて、おろしにんにくを入れたポン酢につけて食べたら、それだけで1ヶ月くらいは幸せである。
けれどもこの牛肉には難点があった。
鶏胸肉と比べたら値段が3倍近く高いのだ。
100g140円そこそこなので決して高い肉というわけではなく牛肉としては良心的な価格だが比べる相手は鶏胸肉だ。
鶏胸肉も料理しだいで牛肉以上にボリューミーで美味しく食べられる優秀な食材である。
僕は迷った。
初代ポケットモンスター赤、緑でフラッシュという技なしでイワヤマトンネルに挑むくらい迷ったあげく牛肉をレジに持っていった。
この時、僕はひさしぶりの牛肉ということでとても興奮していた。
そのせいで僕には店員さんの「袋はいりますか？」という問いかけも耳に入らず。
スーパーから家までは牛肉をそのまま持ち歩く身体の大きな男となってしまった。
しかも、牛肉といっしょにミネラルウォーターも買ってたので傍から見ればファーストフード感覚で生肉食べる超ワイルドな人間離れしたやつだと思われてるかもしれない……
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